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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter99 『決意』 99-1


シュボッ・・

(暗闇の中、炎が点る。 ちりりと燃え、一筋の、
細い煙が。 浮かんだ。)

「・・・。」

ガンッ・・!

ガララッ・・

ドサッ

(男は、闇に包まれる、小さな部屋の中で。 足元に散らばる、
黒く折れた、椅子やテーブルの残骸を蹴散らし。 まだ形のある椅子を見つけると、
乱暴に腰かけ、両足を。 がらくたの上に投げ出した。)

(拍子に、見たこともない奇妙な機械の、壊れた部品が。 音を立て、
石と砂の降り積もった、床に転がる。)

「ふぅ〜・・。」

(天井を見上げる男の、細くつり上がった黄色の瞳を。 立ち昇る白い煙が揺らし、
煙は、空に吸い込まれた。)

(見る影もなく、破壊されたその建物は、天井がはがれ落ち。 星空が浮かんでいた。)

「古巣は落ち着くねぇ・・。」

「ひっひっ。 ゆっくり眠れら〜・・。」

「目を閉じちまったが最後。 生贄にえらばれたものは、朝を迎えられねぇ。」

「そんな中を生き抜いてきた。 懐かしい、子供時代を・・。 思い出すな〜。」

「ええ? 夏樹よ〜。」



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