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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter98 『境界』 98-12


『青葉さん・・。』

「・・あなたが気にすることではないわ。」

「お父様が、すべて上手くいくようにしてくださるから。」

(彩の言葉は、青葉を不安にさせた。)

「お願い・・、彩先生・・。」

「夏樹くんの、好きにさせてあげて・・。」

(青葉は身体を起こそうとし、彩が制止した。)

「(し〜っ)静かに。 今、迎えを来させるから。」

(微笑んだが、瞳の奥に、悲しみにも似た冷たさが、流れた。)

「先生・・。 風がとても穏やかなの・・。」

「こんなのは、初めて・・。」

「・・彼の幸せを。 壊さないで。」

「お願い・・。」

(青葉はか細い声で、だがしっかりと、思いを込めて、彩に訴えた。)

「・・青葉さん。」

「“時の欠片”は、この世界に必要なのよ。」

「あなたが、救われたように。」

「救いを求めている命が。 救われるべき命がたくさんあるの。」



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