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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter98 『境界』 98-17


『彼女には、もともと。 能力者を愛し、受け入れるだけの耐性が無かった。』

『私は、それを知りながら。 二人を止めなかった。』

『人間に、能力者が及ぼす影響を、知りたかったからよ・・。』

『そして・・。 あなたを愛したことも・・。 私に耐性があるか、知るため。』

『見事に。 私は、能力者に触れられると分かったわ。』

(彩の瞳には、涙が浮かんでいた。)

『あなたに愛され、私は滅びても良かったのに・・。』

「強き者は、より強く。」

「弱き者から、奪ってゆくのがこの世界のルールならば。」

「私が、変えてみせる。」

(彩の視線は強く。 中空を見据えていた。)

「対価を交換することにより、願いを実現する力・・。 あなたと狐次郎という青年が、

交わした力を、見たわ。」

「媒体として、私は相応しい。」

『聖君・・。 あなたとFOTに対抗するためになら、

国は、どこの者とも知れぬ、この能力者と手を組むと決めた。』

『私を利用して。』

「いいえ。 これは、私の望みよ。」



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