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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter98 『境界』 98-18


(中空に漂っていた少年の気配は。 それを聞き、嬉しそうに笑った。)

【あなたを・・、僕にくれるの?】

【あの、能力者がどうなったか・・。 見ただろう・・?】

(少年は、新たな獲物を得た喜びに。 微笑んだ。)

「見たわ。 けれど、彼は死ななかった。 私は医者よ。 私が、彼を治したの。」

「人間である私が憎い・・?」

「人間でありながら、時に逆らい、“神”の力を得ようとするのは・・。」

(彩は負けじと笑いかけた。)

「たしかに、葵さんの力を借りなければ、守り切れなかったでしょう。」

「でも。 能力者が、人の力を借りる場合もあるわ。」

「例えば・・。」

「あなたのように、実体を持たないならば。」

(彩の言葉に、少年は、瞳をカッと見開いた。)

「私と国には、あなたに、手足となる。 人間の戦力を与えることが出来る。」

「それは、あなたの力になるんじゃなくて?」

(国は、能力者との取引のために、特別な人々を差し出そうとしていた。)

『特殊部隊は、元々。 特別な訓練を受け、国が育てた能力者達の戦闘部隊。』

『けれど、彼らをもってしても。 FOTに対抗できるとは言えない。』



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