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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter98 『境界』 98-28
「全てを叶えることは出来ない・・。」
***
(いつか聞いた、少女の言葉が。 彩の胸に刺さった。)
『そんなことは、許さない。』
『私が・・、救ってみせる・・。』
(恐怖と緊張に、彩は息を飲んだ。 豊かな胸が鼓動し、肩を揺らす。
冷やりとした院内で、夏の夜の熱は届かないはずが。 彩の首筋から胸元へ、
汗がいく筋も流れた。)
【・・“鍵”の情報を・・。】
【僕に、頂戴・・。】
「・・はぁ・・。」
「・・わかったわ。」
(彩は、間近に迫り、赤く燃える。 少年の目から視線をそらさず。)
(強くにらみ返した。)
「その前に・・教えて。 どうやって、“闇化”を起こすの?」
(もはや手中に落ちた獲物に、少年は。 愛しむように、余裕の表情で
微笑んだ。)
【・・魔法だよ・・。】
【・・“禁断”の魔法だ・・。】
(少年の瞳は、黒く赤く。 色彩を変え、大きく見開いた。)
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