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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter98 『境界』 98-43


(“鍵”の在り処を示すメモリーは、彩の手から明け渡された。)

ポッ・・ ポッ・・

(空になった手のひらに。 涙の雫が落ちた。)

「ごめんなさい・・。」

「ごめんなさい・・。 雪さん・・。 剛・・。」

(彩は、誰にも聞こえない声で。 謝った。)

「あなたで、終わりに出来なかった・・。」

「もう、犠牲は出さないと。 誓ったのに・・!」

(涙の雫は、とめどなく頬を伝った。)

***

「誰かの幸せの向こうには、誰かの悲しみがあるの・・。」

「全てを叶えることは出来ない・・。」

「でも、彩さんは叶えようとしている・・。」

「わたしは、力になれた?」

***

『犠牲を払い。 心血を注いできた、私の研究所を奪った・・。』

『今では、国家生命科学研究所に保管される、“時の欠片”たちも、

聖君の手中・・。』



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