HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter98 『境界』 98-44


『聖君・・。』

『これが、私なりの。』

『あなたへの、復讐よ。』

(彩は涙に濡れる、顔を上げた。 止まらない涙に。 眩い光が届く。)

「なんて・・。

「・・なんて綺麗な・・、月かしら・・。」

(“闇”に染まる身と心に。 銀色に、眩く光る。 月光が注いだ。)

(同じ月を。 遠く、海の向こうで。 夏樹も見上げていた。)

***

カチッ

カタンッ・・

(聖は、アンティーク机の引き出しの中に。 金色の拳銃を仕舞い。
机の奥に眠っている、フォトフレームの存在を、心に留めた。)

「予定通りか・・?」

(仄暗い室内は、机の上に、千波が点してくれた。 ランプの他灯りは無い。)

(背にしたカーテン越しに、月光が細く、差し込み。
白いスーツの肩に、流れる銀髪を。 美しく、輝かせた。)

「・・はい。」

(入口ドアの前。 丁度部屋の一番暗い位置に立ち止まり。 橘は控えていた。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ