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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter98 『境界』 98-45


「無事、遂行したと。 狐次郎様より、ご連絡が。」

(明かりがなく、暗がりのせいか。 橘の表情は見えなかった。)

「・・そうか。」

(聖は、わずかに視線を上げ。 金色の瞳を細めた。)

「・・・。」

(橘は、重い口を開いた。)

「宜しいのでしょうか?」

(金色の瞳は、面白そうに笑った。)

「くっくっくっ。」

「人間は、弱い生き物だ。」

「中地半端に、能力者に手を出すべきじゃない。」

「後悔した時には、もう遅い。」

(そういいながら。 聖の表情は、嬉しそうだった。)

「しかし・・。」

(橘の顔には、暗い影が差し、小さな丸眼鏡の奥で、灰色の瞳をゆがめた。)

「考え直すべきではないかと。」

(橘は、自らの進退。 生死を思いながら。 聖に意見した。)

「・・・。 何だと?」



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