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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter98 『境界』 98-48


『「半端なのは、てめーだろうがっ!」』

『「いつまであいつに甘えてんだよ・・っ。」』

『「あいつを、巻き込むんじゃねーよ。 てめーの願いくらいっ。

てめーで叶えろっ!」』

***

「あんな風に。 僕に向かって来た人間はいないよ。」

(面白そうに、金色の瞳は揺れた。)

「・・良い友達ができたね。 夏樹・・。」

(聖は、手の中のメモリーを握りしめた。)

「・・ふぅ。 あの子を“闇”に染めるのは、簡単なことではない。」

「僕も、切り札を。 切らなければ。」

『聖様・・。』

(橘は言葉を詰まらせた。 これ以上、聖を止める手立てはない。)

(夏樹は、そう簡単に、“闇”に心を許さないと。 橘にもわかっていた。)

(感慨深げに、聖は目を閉じた。)

「橘。 お前の言いたいことは、わかっている。」

「お前は、長い間。 僕に、忠実に仕えてくれた。」

(橘は、息を飲んだ。)



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