HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter98 『境界』 98-50


(聖は、橘の答えに、満足しているようだった。)

「だからだ。」

「僕は・・、捨てなければならない。」

(両手を組み、黄金色の瞳を煌めかせ、前を見た。)

「それに、データはもうあの男に渡った。」

「これが。 僕の手の中にあるデータが。」

「奴が欲している本物のデータだがね。」

(聖は、立ち上がり。 メモリーを手にすると。 空間の狭間へ、
誰も触れられない場所へ。 瞬時に放り。 メモリーは音を立て、砕けた。)

コォッ・・ バキッ!

パリリッ・・

(破片は、輝く砂となり。 異空間の狭間に散った。)

(舞い上がる銀髪の奥で、黄金色の瞳が怪しく光る。)

「契約の裏切りは、死では済むまい。」

「上手くすれば。」

「奴が、手を汚してくれるだろう。」

(金色の瞳は、嬉しそうに揺れた。)

「・・でなければ。」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ