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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter98 『境界』 98-55
「国の執事どもにぴったりの。 しゃれたカフスボタンじゃねーか。」
[「・・対抗する能力者の力を吸収し。 持つ者の力を高めている。」]
(晃は、通信機を確認し。 剛が映し出す、議事堂前の映像を見た。)
***
「国が編み出した、特別な物質で出来ている。」
「・・極秘に大量に生み出すことに成功したなら。」
「国が俺たちから隠すべき情報だろう・・。」
(静かに、張り詰めた夜の空気が。 巨大な本部廊下の、ガラス窓を振動させ。
晃は、窓を打つ、風の気配に。 視線を上げた。)
「・・・。 国家生命科学研究所への通信は、閉ざされたままだ。」
[「だが。 彩が、俺にこれを託した。」]
[「これを身に着けてる奴らが。 何かを起こす。」]
[「そういう、意味じゃねーのか?」]
***
(晃は通信が途切れだす、モニターを注視し。 闇夜に灯るライトに、白く浮かび上がる。
国会議事堂を鋭くにらんだ。)
「お帰りなさいませ。 晃様。」
(張り詰めた空気に相応しく、涼しげな瞳で。 時雨は晃を迎えた。
声に晃は振り向き。 物憂げに、時雨に答えた。)
「・・狐次郎は?」
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