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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter98 『境界』 98-62


(前方には、皆にまじって、笑顔を見せる紫苑の姿があった。)

「ふふっ。 ねぇ、紫苑の髪良い香りよね。 どんなシャンプー使ってるの?」

「///え? これ。 佐織ちゃんは?」

「ふ〜ん♪ 見せて。 そうだ! わたしちょっと焼けてない? 明日どうしよ〜;」

「佐織さん、かっこよくて似合ってるよ///」

(遠く、女湯の方に向かってゆく、賑やかな話し声を見送り。 男性陣も、意気消沈した
ソラの他、楽しげに、浴場へののれんをくぐった。)

「あれ、菖蒲は?」

「・・仕事中だから。」

(夏樹は笑顔で、肩をすくめた。)

***

ピッ ピッ

テゥルルッ・・

(人通りのある、ホテルの廊下から。 少し離れた。 ホールへ続く階段の裏。
小さな窓辺に。 菖蒲は移動した。)

(窓の外には、銀色に月明かりを映す。 海の水面が見える。)

(同じ月を、見ているだろうかと思いながら。 菖蒲は、通信機の通話ボタンを押した。)

「ご連絡をして、すみません。」

「・・菖蒲です。」



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