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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter98 『境界』 98-64


望むものを手に入れるために。 動き出すのではないかと・・。」

「FOTメンバーも居てくださいますが。 国の側に、あなたを残しておくことが、

心配で。」

(静乃は、菖蒲の想いが心から嬉しかった。)

『随分、大人びたことを・・。』

[「ありがとう。 菖蒲くん。」]

[「心配しないで。 ご主人さまのことを考えてあげて。」]

「・・静乃さん。 何かあれば、私に連絡を。 ご無理はなさいませんように。」

(菖蒲は、念を押したが。 年上の静乃に、自分が出来ることがあるだろうかと。
思う気持ちが、菖蒲を苦しめた。)

[「ええ。 ありがとう。 それじゃあ、また。」]

『静乃さん・・。』

(もう一言。 静乃に言いたかった。 だが、何と言っていいのか、分からなかった。
夏樹のことに関しても。 菖蒲が静乃を頼ることはあったが。 静乃から、
菖蒲を頼ることはあまりない。 ましてやFOTに関して、静乃の方が、知っている。
菖蒲は、能力者であっても。 一度も力を使ったことがない。)

(誰かを、守るすべがあるわけでもない自分の非力さに。 心を痛めた。)

ピッ

「・・。 私も能力者であることを、忘れてしまう。」

「夏樹様や、ソラ様のように。 誰かの力に、なれればいいのに。」



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