HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter98 『境界』 98-66
「FOTのオペレーターが、何の用?」
(出迎えたのは、研究所の所長。 彩本人だった。)
「・・彩。」
(張り詰めた気配に。 静乃は、何かが変わったのを感じた。)
「誰も、居ないのね。」
(静乃は、以前と変わらぬ想いで、彩に接した。)
トッ
(研究に準備が整えられた、広い内部は。 いつでも稼働できる体制で、
煌々と明かりが灯っていたが。 今は人の気配を感じず。 無機質な、冷たい空間は、
外部の人間の侵入を、拒絶しているようだ。)
「あなたが来るのが見えたから。 席を外させたわ。」
「聞かれたくない話もある。」
「どうぞ。」
(彩の長い睫毛が、美しく。 瞳は冷たく笑った。)
「・・・。」
「FOTと敵対することはしないで。」
「聖くんに怒っているのはわかる。 けれど、
メンバーが皆、同じではないの。 特に、子供たちは。」
「争いに巻き込むべきではない。」
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