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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter98 『境界』 98-67
「彩。 何があったの・・?」
「私に話して。」
「剛くんとも、もう会わないつもり・・?」
(人の良い静乃が、何の警戒もせず。 誰にも告げずに、ここに来たことは、
分かっていた。 魔力を手に入れた今、目の前の静乃を追い払うことは容易い。)
(彩は、どう対処すべきかと。 楽しみながら。 変わらずに、純粋な目を、
自分に向ける静乃に、いらだちを覚えた。)
「・・相変わらずね。 あなたは。」
「敵の陣地に乗り込むのに、無防備に正面突破?」
(静乃は眉根を寄せた。)
「私は、友人としてここへ来たのよ。」
(静乃は、ためらうことなく、真っ直ぐに見つめていた。)
(明るく、跳ねる髪先が、頬にかかり。 同じ大人の女性でありながら、迷わずに
前を見て生きることが出来る静乃の姿に。 彩は、自分の身を思い。 顔をゆがめた。)
『同じ苦境に立ちながら。』
『なぜ、純粋でいられるのかしら・・?』
『私は、この子ほど。 人を愛することに、正直ではなかった・・。』
(彩は、笑った。)
「くすくすくすっ。 そういうところ、菖蒲君と似てるわ。」
「でも、」
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