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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter98 『境界』 98-70


(狐次郎の、短い赤い髪から、玉のような汗がしたたり落ちた。)

「・・っ、これが。 同業者のお仲間に対する仕打ちかね〜・・?」

(黄色い瞳が、鋭く晃を睨んだ。)

ゴウンッ・・! バシュッ

ガッ・・

(空間通路を抜け、目の前に現れた剛が。 力強い歩幅で、晃の前を横切り。
間髪入れずに。 巨大な手で、狐次郎の喉元を掴んだ。)

「(ぐっ)・・(げほっ)!」

「夏樹のデータをどこへやった・・?」

「晃は優しいが。 俺はそうはいかんぞ。」

「言え。」

「(ごほっ)・・っ」

ピキッ

(空間の狭間が捕らえた四肢が、切断されてしまわぬぎりぎりのところへ、
剛の岩のような手が。 狐次郎を押し込んだ。)

「・・俺は・・、頼まれただけだ・・。 あんたが剛か、ひっひっ。

そしてそっちが・・。」

「・・No.2を送ってよこすたぁ、・・、そうかい・・。」

「俺は、夏樹のデータを盗っちゃいねーさ。 替え玉に差し替えるよう頼まれたのさ。」

(狐次郎の、うつろな黄色の目は、自分を抑える剛から視線を移し。



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