HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter98 『境界』 98-73
「命より大事なもんまで、持っていかれるぜ・・!」
***
ザッ ザザッ ザブーンッ!
(激しい飛沫を上げ、熱いお湯と湯気が舞い上がる。
流れるお湯が、岩肌を打ち。 露天の岩風呂は、勢いよく熱気に包まれた。)
「馬鹿やろうっ! 飛び込むんじゃね〜。」
ザッバーン!
(水色の髪が、湯しぶきの向こうに消え。 なみなみと流れる源泉に、身体を沈めると、
大きな両腕を、星の夜空に伸ばした。)
「ぐわ〜っ。 しみるね。」
(ソラはそのまま、露天風呂を覆う岩に、頭を乗せ。 満天に輝く星を見た。)
「小せえな〜、俺らは。」
(見上げる水色の瞳に。 無数の星屑が映る。 湯のしずくを浴びて。
水色の髪は、ソラの笑顔に光っていた。)
「自分たちのことに、争ってばかりだ。」
「世界はこんなに広い。」
「エアリエル国とも、この空はどこかでつながってるだろう。」
「みんな、幸せになれよ。」
「楽しんで生きなきゃ、損だろ。」
「ふひ〜っ、いい湯だこりゃ。」
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』