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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter98 『境界』 98-82


(黒い燕尾服に身を包む執事たちは、長身で、整い、月夜に光る艶やかな服は
美しく。 黒く光る全身から、不思議な緊張感と、圧力を。 その場にもたらした。)

「・・!」

(見慣れた菖蒲の装いとは全く違う。 美しさの中に見える、優しさはみじんもない。
まるで、周囲を黒い壁に。 取り囲まれたような気がした。)

「あなたたちは、国の・・。」

カッ カッ

(黒い革靴は、ためらいなく、静乃との距離を縮める。 整った髪、黒いサングラスの
向こうに隠れた表情は、固く。 凍りつく気配に。 月明かりが、
冷たく、燕尾服に施された、銀の装飾を光らせ。 静乃の目に入った。)

(彩は、にやりと微笑んだ。)

「知っていることを、私に話して。 静乃。」

「どうやって。」

「“時の欠片”から“闇の痕跡”を消し、純粋な欠片に浄化したのかしら?」

「あの子供たちが、何をしたのか。」

「あなたは見ていたはず。」

(彩は、黒服の執事たちが取り囲む中心へ。 静乃のそばに詰め寄った。)

『“闇化”を自由に操れるようになった今、“時の欠片”を手に入れ。』

『浄化の方法さえ分かれば。 “時の欠片”を命として、人に与える日が現実となる。』

「教えて。 あなたの言う通り。 子供たちを巻き込みたくないのなら。」



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