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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter98 『境界』 98-83


「静乃。 友達として、お願いするわ。」

「私の一声で。 “闇化”を起こせるのよ?」

「子供たちを、救いたいでしょう?」

(彩は、凍りつく静乃の耳元に。 そっと、紅い唇を寄せた。)

(静乃の肩を、彩の紅いネイルの指先が、抱いた。)

「・・。 なんてことを・・。」

(冷たい気配が覆う中。 静乃の心は、ズキリと痛んだ。)

***

「ミイ、ほら! アイス。」

(ソラの呼びかけに。 ミイは、嬉しそうに振り向いた。)

「わぁっ/// ありがとっ!」

「ソラ、何味?」

(白いビニール袋から、ソラはカップアイスを取り出した。 細長い廊下の、
赤絨毯の上を、スリッパの音を鳴らし。 湯上りの浴衣姿で皆笑い合った。)

「俺、チョコミント。 いる?」

「わたしもっ。」

(冷たいアイスを手に、嬉しそうに。 明るく短いオレンジ色の髪を揺らした。)

「何、そっち行ってんだよ?」



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