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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter98 『境界』 98-87
「春人様・・。」
(微笑んだ菖蒲に、ソラが笑顔を向けた。)
「一風呂浴びて来いよ。 夏樹には、俺らがついてる。」
「ピュア。 建物の周りに、守りの魔法をかけよう。」
「そう簡単に、邪魔させないさ。」
(水色の瞳は強く輝き。 菖蒲は、ソラに深くお辞儀した。)
「・・ありがとうございます。 ソラ様。」
(窓から見える、風見市の夜空は。 満天に星が輝き。 穏やかな風が、
辺りを包み込むように、流れていた。)
(菖蒲の心によぎる、不安な思いは。 遠く、静乃のいる都心の空を覆う薄雲のように、
解けなかった。)
***
「言えないわ。」
「私は、子供たちを信じている。」
「あの子たちなら、自分たちの手で。 切り開いてゆく。」
「大人が、利用して良い力ではないわ。」
「思い出して、彩。」
(彩の目に、不思議な影がよぎったのを感じた。 静乃は、ひるまず、
前を見た。)
「剛くんと、雪さんのことを。」
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