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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter98 『境界』 98-91


「まさか、静乃さんに何か・・っ。」

(菖蒲は意を決し。 夏樹に、短い伝言を送ると、通信機を操作し、
本部への空間移動通路への扉を開いた。)

「FOT本部へ。」

キンッ コォォォーッ シュンッ・・!

(脱衣所に、クリーム色の光の扉が現れた。 扉は、菖蒲の身体を包み込むと、
瞬時に、跡形もなく。 その場から消えた。)

***

「彩・・。 きっと、私の願いと、あなたの願いは、

同じだったはず。」

「いつから、道を違えてしまったのかしら・・?」

「・・、彼は道具じゃないのよ。 彩。」

「研究対象などではなかったはず。」

「・・、そう思い込もうとしているだけよ。」

(静乃は、必死に説得しようとしていた。 自分の身を案じてではない、
今止めなければ。 彩は、取り返しのつかない過ちを犯し、道を戻ることはできない。)

「彼は、能力者の前に、

人なのよ。」

「ただ純粋に、一生懸命に、自分のすべきことと、



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