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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter98 『境界』 98-92


向き合おうとしている。」

「大人たちに利用され、自分が忌むべき存在と知りながら。」

「私たちに心を許し、素直であろうとしている。」

(彩は、静かに、静乃を睨んだ。)

「やめて・・。」

(黒服の執事たちは、静乃にあと一歩のところまで迫っていた。)

「彩・・。」

「夏樹くんは、あなたの患者なのよ。」

「このままにしておいて、良いはずがない。」

(彩の脳裏に、夏樹の姿が浮かんだ。)

『「彩さん・・。 ありがとう。」』

「やめて・・っ!」

(彩は必死に、夏樹の笑顔を心から振り払った。)

(深い紺色の瞳は、とても純粋で。 真っ直ぐで。 彩の嘘を見抜いていた。)

『平気なはずがない・・。』

『けれどもう・・。 ・・戻れない。』

「静乃。 あなたと私はもう違うの。」

「いいえ、初めから。」



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