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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter99 『決意』 99-2


(問いかけた言葉は、煙と一緒に。 満天の星空に昇り。)

(光のないその場所で。 降り注ぐ星の瞬きは、柄にもなく、男の心を震わせた。)

「ひっひっ。 傷にしみら〜・・。」

(座り心地の良いとはいえない、椅子の上で。 身体を投げ出し。
僅かな光を惜しむように。 全身で浴びた。)

パリリッ・・

「来たかい・・。 お嬢ちゃん・・。」

(暗がりの向こう、大きく割れた。 窓ガラスを背に。 一人の細い、シルエットが
浮かびあがる。)

「あんたと話したかった。」

(割れたガラスを踏みしめ、美しい靴が、汚れた床の上に舞い降りた。)

(背にした、窓ガラスが。 ほとんど砕け落ち。 窓枠に残された鋭い破片の他は、
その向こうに。 本物の夜空が広がっていた。)

(夜空に溶ける、長い、薄紫色のソバージュの髪。 現れた美しい女性の透き通る頬は、
男性を見つけると。 そっと微笑み。)

(薄紫の瞳が、月夜を背に。 怪しく瞬き。 その白い肩に、髪が揺れた。)

「近づくのは危険よ・・。」

「FOTにも。 私にも・・。」

「そして、夏樹さんの記憶にも・・。」

(女性は視線を、上空に向け。 星空の向こう。 建物を覆い迫りくる、



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