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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter99 『決意』 99-10


パラッ・・ パラッ・・

カッ・・ コロロッ・・

(ガラスのように透き通る。 透明な床の上で。 折り重なる“欠片”たちは、
美しく。 七色に輝いている。)

(床の上に、横たわり。 伸ばされた腕先が。 無意識に“欠片”を探る。)

(真っ白なスーツの身体に、ガラスの上に、流れる美しく乱れる銀色の髪に。)

(いくつもの“欠片”が降り積もったが。)

(見開かれた金色の瞳に。 何も映ってはいなかった。)

カチッ

(長い指先が。 一粒に触れると。 両手で抱え、強く握りしめる。)

「・・うっ・・。 ・・うっ・・。」

(眩いスーツに身を包む。 男のいる世界には、何もない。)

(すべてを反射する、ガラスの空間の中に。 聞こえるのは男の息遣いと、
降り積もってゆく、“欠片”の音だけ。)

(その世界には、男と。 “欠片”しかなかった。)

(金色の瞳には、涙があふれ。 頬を濡らす。)

(光を映さない金色の瞳。 表情を無くす、男の唇が、静かに名を呼んだ。)

「粒樹。」

「罰を受けるのは、僕だろう?」



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