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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter99 『決意』 99-12


(現実の聖は、洋館の中。 自室のアンティーク椅子に腰かけ。
目を閉じていた。)

(思考の中の、もう一人の聖は。 常に、“欠片”と共に。 異空間に捕らわれ。
甦る思い出が。 聖の心を分断した。)

「・・う・・。」

(案内人の老いた手が、冷たい鉄の鍵を回し。 重い扉を開いた。)

『幾つもの扉を超えた先に、その特別な牢獄はあった。』

(記憶の音は、現実の聖の耳元に迫り。
思い出は、目を閉じた聖の前に。 開いた。)

***

***

「・・特別に。 しつらえた、“牢”に入れてあります。」

「・・何しろ・・。 特別な力を持っていらっしゃる・・。」

「(ぐひひっ。) あなたさまが・・、国に力を貸してくださるのなら、

お見せしてもよいと。 首相が・・。」

「(ぐひっ。) こちらへ。」

キイイイーンッ・・

ガガッ・・

(猫背の老人は、気味悪く笑い。 不揃いに、こぼれ落ちた歯の間から
漏れる息と、不気味に揺れ動く、飛び出した眼球に。 見ていて吐き気さえ覚え、



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