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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter99 『決意』 99-14


『僕の心さえ洗い流す。 澄んだ空気を胸に吸い込んだ。』

『特別に設えた牢は、その力を最も引き出す環境に整えたと。』

『国の使いは、僕に語った。』

『生き物の気配さえ無い、建物の外と反し、内部は、木々であふれている。』

『そして、木々の新芽は。 僕の頭上で、見る見るうちに、

今も芽生え。 みずみずしい泉がどこからか湧いているのか。 光と滴を、

僕のもとへ届けた。』

(流れる銀色の髪が、滴に光る。 心に宿したすべての思いを忘れ。
聖は、ただ微笑んだ。)

「くすっ・・。」

「もしも、天国があるのなら。」

「こんな場所だろう。」

(聖の言葉に、老人は。 ニヤリと笑った。)

「(ぐっひっひっ。) まさに、神の使い・・。」

「彼女の力・・。 ご覧に入れましょうぞ・・。」

(言うと老人は、鋭く、前方の。 巨大な鳥かごを指さした。)

(しわの手が、指す先、鳥かごの中心には。 少女が立っていた。)

(豊かな木々と水音。 差し込む木漏れ日の向こうに、細い人影が見える。
木々に隠れ、初めその姿は、見えなかった。 ゆっくりと聖は近づいた。)



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