HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter99 『決意』 99-15


ピチャン・・

ピピピッ チチチッ・・

(聖の白い靴が、茂る緑を踏みしめ。 少女を捕らえる金の鳥かごに、その手をかけた。)

(覗き込む聖の金色の瞳に。 鮮やかに少女の姿が映る。)

「・・はっ。」

(聖が息を飲む一瞬。 老人の指先は、少女の視線の先。 光の中に舞い飛ぶ、
小鳥たちに向けられた。)

「(ぐひひっ。) やれ。」

ピシュン・・!

ピピッ・・

(聖が気づいた時、鳥かごの周りには、無数の黒服の男たちが、
包囲しているのが見えた。)

(指示を受け、一羽の小鳥を狙い。 男の一人が、小さな攻撃を放った。)

トサッ・・

(鳥かごの中。 草地の上に、小さな命が散る瞬間を。 金色の瞳は、表情を変えずに、
静かに。 見つめていた。)

【・・・。】

(小鳥を見つめていた少女の小さな顔は。 凍りつき。 裸足の少女の足元に。
亡骸は落ちた。 少女の白い頬に。 小さな、赤い。 血痕が、付く。)

(少女の深い紺色の瞳が。 悲しみに見開いた。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ