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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter99 『決意』 99-18


「・・んん・・っ。」

(突然、胸に感じた痛みに。 顔をしかめ、窓から視線をそらすと、目を閉じる。)

(胸の奥で、強く鼓動する。 その力を抑えようと、
夏樹は、胸元を強く。 握りしめた。)

ドクンッ・・! ・・ドクンッ・・!

「・・あっ・・。」

(こらえようと、白い手が顔を覆う。 まるで閉じ込めるように、
身体を屈めたが。 その力は湧き出でる。)

(抑え込む夏樹の胸元から、光が溢れる。 イメージが、夏樹の脳裏に浮かび。
現実には、光など見えていないのに。 不思議な記憶が。)

(自分の物ではない記憶が、浮かび。 現実と交錯する。)

「・・あぁっ・・。」

(小さな少女の姿が見えた。 少女の胸元が光り。 その強さが、
夏樹を苦しめた。)

ゴォォッ・・!

・・キンッ・・

(力は、開いた少女の手の上に。 集約した。)

(うっすらと、開いた夏樹の目は、にじみ。 幻の少女の姿を追う。)

(かすむ視界に見える。 少女の両手のひらに落ちる血。 赤い羽根。)

(強い痛みを伴い、夏樹は、幻の少女を見た。)



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