HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter99 『決意』 99-20


『僕が、聖と出会う前だろう・・。』

『僕の意識は、粒樹の視線を通し。 その景色を見た。』

サァァァァーッ

『澄み切った空気は。 不思議と、ソラから聞いた、エアリエル国を思わせる。』

『粒樹は、鳥かごの中に捕らわれていた。』

『僕の目は、飛び立った鳥を追う。』

『僕の意識はまるで、粒樹の中に、存在しているようだ。』

(鳥は、甦ったが。 小さな少女の手に死の跡は消えず、赤く染まる、両手のひらの上に、
ぽつりぽつりと、涙がこぼれ落ちた。)

『・・僕は、泣いていた。』

『喜びではなく、粒樹は泣いていた。』

『空から舞い落ちた、自分の力が。 この世界に不幸をもたらすと、

知っていたのだろうか・・。』

(聖は、ゆっくりと。 牢越しに、粒樹に近づいた。)

(粒樹の意識に入り、夏樹には。 聖が何をしようとしているのかが分かった。)

『・・ダメだ・・。』

「(ぐっひっひっ。) 命を、与える力・・。」

「天使でございましょうか・・?」

「美しい力でございましょう・・。」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ