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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter99 『決意』 99-21


「どこから来たのか、身元も知れません。」

「異国の能力者ではないかと・・。」

「名を、“リュウジュ”とだけ。」

(そう言って老人は、不気味な目をぎらつかせ、ニヤリと笑った。)

「・・聞こえますかな?」

「声を使わず、意識に語り掛けるそうですがな・・。 (ぐひひっ。)」

「わしには、名しか聞こえませんがな。」

ドクンッ・・

(胸元に、不思議な心音が響き。 夏樹は緊張した。)

『・・止めてくれ・・。』

『・・触れては、いけない。』

『・・聖・・。』

(夏樹は、粒樹の中で目を閉じ。 両手で耳をふさいだ。)

【わたしを、連れて行って・・。】

【・・聖・・。】

(金色の瞳は、見開いた。)

「・・、なぜ。 僕の名を?」

(聖は眩く笑った。 輝く金色の瞳に、紺色の瞳が映る。)



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