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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter99 『決意』 99-23


(強い力と、光景に、歯を食いしばる。 夏樹は、粒樹の中で、
目を開いた。)

「・・あ・・、聖・・。」

(夏樹の声は、聖には届かない。)

ゴォォォォーッ!!

(切り裂かれた空間の、激しい気流の中。 眩く輝く白いスーツの腕が。
粒樹の身体をさらい、目の前に。 煌めき流れる銀髪と、
黄金色に輝く瞳が飛び込んでくる。)

『・・!・・』

(夏樹は、粒樹の中から抜け出せぬまま。 聖の強い視線と、力。
想いを浴びた。)

バシャーンッ・・

コポポポッ・・

(空間に飛び込んだ二人の姿は、黒と紫のマーブル模様の気流の中に、
溺れた。)

(輝く白い服。 淡いレースの小さな姿が。 暗闇の中に沈み。)

(夏樹の心に、聖の想いが流れた。)

***

***

『僕は、粒樹を連れ出した。』

『彼女は、あの場から。 どこかへ行きたがっていた。』



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