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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter99 『決意』 99-26


『その言葉に、僕は苦しみ。』

『僕は、彼女を奪った。』

(甦る記憶は、現実の、聖の心を壊そうとしていた。)

『・・嫉妬だろうか・・。』

『命さえ捨てさせる、彼女の守りたいものに。』

『どうしようもなく、嫉妬したのだ・・。』

『・・今思えば、稚拙で。 大人げない。』

『どんな能力を持っても・・。 心を動かすことさえ、出来ないとは。』

「彼女は、死のうとしていた。」

「僕と出会おうが、何ら、彼女の道は変わらなかった。」

「心奪われ。 すべてを捨てても良いとさえ。 思ったのに。」

「僕は、無力だった・・。」

「生きる道さえ・・。」

「見出してやれず。」

「僕に出来たのは、この手で。」

「わずかの間、留めることだけ。」

(ガラスの部屋の中。 降り積もる、“欠片”に埋もれ。 思考の中の聖は涙した。)

『そうだ。 僕は、自分が何者かさえ、忘れていた。』



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