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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter99 『決意』 99-30
(聖は、震える指先を。 夏樹に差し出した。)
「これが、彼女が守りたかった者。 彼女を殺した者。」
『憎むべき相手は。』
『とても彼女に似ていた。』
(幼い夏樹は、海岸に立っていた。 大きな、深い紺色の瞳は、絶望に見開き。
目の前に現れた、金色の瞳を。 見上げた。)
(聖は眩く笑った。 輝く金色の瞳に、紺色の瞳が映る。)
『幼い夏樹の白い頬に。 小さな、黒い。 “闇”の痕が、付く。』
【・・未来で出会うから。】
【未来で、あなたは、彼に出会うから。】
『悲しみに見開く、幼い瞳は。 初めて出会った時の、粒樹と重なった。』
(過去の記憶の中で、聖は。 今、夏樹の中に粒樹が存在していることを感じていた。)
トクンッ・・ トクンッ・・
『あの時、この世界に初めて起こった“闇”は。 粒樹の中に集約した。』
『そして、彼女は。 “欠片”となり砕け。 夏樹を、“闇”から守ったのか・・。』
(過去の聖は、そっと。 幼い夏樹に話しかけた。)
「力は、人を幸せにしない。 時には、触れた相手の人生を変え・・。
命を奪うことがある・・。」
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