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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter99 『決意』 99-31


「だから、君は、今一人きりなんだ。」

「だから、誰も、君に触れないだけだ・・。」

「だから・・。

僕が、その手に触れよう・・。」

(小さな夏樹の手を、聖は握っていた。)

***

(込み上げる想いを堪え。 夏樹は強く、目を閉じた。)

(注がれる、聖の真実の想いに、現実の夏樹は身もだえた。)

(夏樹は、自身を保とうと。 腕で、身体を覆い、椅子の上で身体を支え、うつむいた。)

「・・・っ。」

***

『彼女は、この手から離れ。 目的の場所へ行ったのだ。 あの海へ。

二度と、手の届かない場所へ。』

『自らの命と引き換えに。 夏樹の命を守り。 そしてこの世界に注がれるべき、

“闇”の力を。 自らに封じ込め。 “時の欠片”となり、砕けた。』

『世界に、人々の中に散ったのは。 彼女の持つ、命の力。』

『・・“時の欠片”は・・。 僕の、愛した人だ。』

***



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