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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter99 『決意』 99-36


「紅茶をお入れいたしました。」

「温かなうちに、お召し上がり下さい。」

(立ち昇る紅茶の香りに、聖は目を細めた。)

「良い香りだ。」

(辺りはまだ、闇に包まれていたが、漂う香りが、聖を目覚めさせ。
悪夢にさらされ、乱れた銀髪に、覆われた顔を上げた。)

「千波様より。 差し入れるようにと、

言付けられましたゆえ。」

(橘は、白手袋の手で、聖を促し。 微笑んだ。)

「・・・。」

「・・くっくっ。」

(聖は、乱れる前髪も気にせず、鋭い金色の瞳で橘を睨み。
笑った。)

「・・千波が・・?」

「くっくっくっ。」

「・・愛か・・。」

『愛されることなど、望みはしない。』

『粒樹を取り戻すことが出来るのならば。』

『僕は・・、地獄に落ちても構わない。』



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