HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter99 『決意』 99-4


「だが、その後はどうなる?」

「あふれ出た巨大な“闇”は、・・また。」

「過去の、この場所のように・・。 廃墟と化す。 死の街を、

生み出すだけだ。」

(男は、黄色の目を細め。 引きつりながら笑った。)

「ひっひっ。 おかしなもんでよー。」

「あの頃は、ここから逃げ出したかった・・。 死にてぇほどにな。」

「この建物が。 かつての研究所が・・。 まだ、綺麗だった頃よ・・。」

「窓の外を眺めては。 遠く、海辺で遊ぶ・・。 自由なガキを見て、うらやんだ。」

「そりゃーよ。 初めは俺には野心があった。 だが、あいつは初めから、

乗り気じゃなかった。 聖に。 FOTに拾われて良かっただろうぜ。」

「何しろ向いてねー、あいつは。」

「そのくせ、俺が手を差し伸べようと。 逃げねぇ。」

(男は煙草の煙に、顔をゆがめ。 苦い思いを噛みしめた。)

「・・。 あなたが。」

「彼を、助けられなかったわけではないわ。」

「これは、彼の運命・・。」

「そして、ここは。」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ