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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter99 『決意』 99-5
「彼の、“過去の記憶”の入り口。」
(言いながら、女性は。 美しい靴の足元に。 あらわになる白い肌の肩に、
流れる薄紫のソバージュの髪先に。 建物の外から迫りくる気配を感じ。
黒いレースの胸元を揺らした。)
「・・ふぅ・・。」
(この場にかけられた封印は、遠く。 術者の揺らめく心と響き合い。
守りの力さえ脅かした。)
「葵。」
「国とFOTの機密を守る役目。 あらゆる物を影の中に隠す、力を持つ。 あんたでも、
夏樹の記憶。 力はいずれ抑えられねー。」
「あいつが、“闇”をなんとか抑え込んでいるのは分かってんだろ?」
「お嬢ちゃん。 いい子だから。 そのままにしておけや。」
「ここは、俺とあいつにとって。 もう一つの故郷。」
「憎むべき記憶が眠っていようとも。 それは、変わらねぇ。」
「へたをすればこれは。 未来の、“風見市”の姿だ。」
「見て見ろ。 気持ちのいいもんじゃねー。」
(暗闇に包まれる、部屋の中で。 黄色の瞳が、鋭く光る。)
「狐次郎さん・・。」
「夏樹さんが、自らの存在を問い・・。 その意義を見出そうとするとき・・。」
「この心の深淵は・・。 顔を出す。」
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