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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter99 『決意』 99-41


・・ドクンッ・・

『僕が、夏樹から、“鍵”を奪い、』

『君を開放しよう。』

「もう一度、自由になるんだ・・。」

「粒樹。」

(聖の想いは、夏樹の目の前に迫っていた。)

***

『・・やめて。』

(紫苑は、夏樹の心を、何かが圧迫していると感じ。)

(何者かの気配に向けて。 全身の力を込めて、念じた。)

『・・彼に、近づかないで。』

「・・大丈夫よ。 夏樹くん。」

「大丈夫。」

(紫苑は無意識に、夏樹の身体を支え。 氷の様に冷たい背中を、
片手でそっと、さすった。)

(流れる汗と反対に、触れた夏樹の身体は、血の気を引いて白く。 凍えているようだ。)

(紫苑は小さな声で、囁き。 ためらいなく両手で、夏樹を抱いた。)

(自分にどうすることも出来なくとも。 少しでも和らげたかった。)



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