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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter99 『決意』 99-45
「待ってて。 わたし、みんなを呼んで・・。」
(紫苑は途端に、強い力で引き戻された。 思いがけず、夏樹に振り向き、
瞬いた。)
「夏樹くん・・。」
(夏樹が、紫苑の腕を掴んでいた。)
「大丈夫だ。」
(ゆっくりと立ち上がり。 夏樹は、真っ白な手で、汗に濡れたシャツの胸元を、
確かめるように触れた。)
「もうすぐ、夜が明けるね。」
「外へ、出て見ないか?」
(濡れた紺色の髪の奥で、変わらず、きらきらと。 深い紺色の瞳が
煌めくのを見て。 紫苑の胸は、愛しさできゅんと痛んだ。)
「・・うん。」
「よし。」
(少し力を込めて立ち上がった夏樹の様子を。 透けるように薄い肌と、
細い背中を目で追う。)
「行こう。」
(そう言って、振り向き、手を差し伸べる夏樹は。 何事もなかったように、
眩しく笑った。)
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