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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter99 『決意』 99-47


「それなのに。 紫苑さんは、僕を許してくれている。」

「そのままの。 自分でも、いいんじゃないかと。 思わせてくれる。」

「ははっ。」

「何、言ってるんだろう。」

「ただ・・。」

「ただ少し、二人で、居たかった。」

(夏樹は、何か動揺しているようだった。 微かに青く、明け始める空と海を前に。
紺色の瞳が、青い水平線を見つめていた。)

「え?」

(波音と、強い風が、二人の鼓動をかき消していた。)

(青く澄んだ水平線の向こうに。 まだ見ぬ、強い太陽が。
海の向こうに、強いエネルギーが隠されているのを感じた。)

ザザーンッ・・!

(二人は、息を飲み。 世界と共に、夜明けを待った。)

***

カタンッ・・ コトンッ

(夜明け前の朝もやの中。 木々の香りの中に。 千波は降り立った。)

(キッチンは整えられ。 趣のある洋館は、千波の手で磨かれ。 温かな朝を
迎えようとしていた。 しばらくの間、留守にしても良いように。 食事の準備や、
食材の準備を整え。 FOTメンバーの衣服も用意し。 草花も瑞々しく、手入れされた。)



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