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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter99 『決意』 99-54
「ああ。」
(晃は部屋を背にし、ドアの側の時雨に近づき、笑いかけた。)
「お前の顔を見ると、落ち着く。」
(時雨は、心外そうに眉根を上げ。 冷ややかな視線で、間近に笑う晃を見た。)
「・・、この状況で、よくそんなことが言えるな。」
「長年、国に協力してきたことが、あだになった。」
(晃は、時雨の肩に手をやると、廊下へ向かい歩き出した。)
トットッ
「そう悲観的になるな。 誰も、進んで国と事を構えるつもりはない。」
「大人しくしていてくれればな。」
(切れ長の瞳は、鋭く、明け行く夜空に向けられた。)
(黒い服に身を包む晃の姿を見つめ。 時雨はため息をつき、
白手袋の手で、そっと。 晃の艶やかな上着の襟元についた、しわを伸ばした。)
「・・ふぅ。 物わかりの悪い奴だ。 聖と争えば、FOTにも死人が出る。」
(晃は笑顔のまま、時雨が服を整えてくれるままに、身を任せた。)
「俺は、メンバーと聖を信頼している。」
「屋敷に張られた結界を、あいつは解けずにいる。」
「そのことに、あいつは自分で気づいていない。」
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