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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter99 『決意』 99-56


(葵は、傍の椅子に腰かけ。 テーブルの上で、美しい指を組んだ。)

「夜明けと共に、何かが動き出す。」

「・・、狐次郎さんも、夏樹さんを心配していたわ。」

(葵の薄紫の瞳は、遠く。 自らの力が守る先へ、向いた。)

「国は動く。 今日中に手はずを整え。 敵は明日、事を起こす。」

「黙って、させるわけにはいかない。」

(晃はそう言い、長テーブルの脇を通り、黒い革靴を響かせ。
囲むメンバー、一人一人の目を見つめ。
長テーブルを横切り。 天井の高い、巨大なホールの中央へ。
本来、聖が座るべき場所へ。 立ち止まり。
ホールを見渡した。)

「・・。 これが、あいつの見ていた景色か。」

(晃は、感慨深げにその場所に立ち。 一息、深く息を吸い。 重く、年月を重ねた
アンティークテーブルに触れた。)

「皆に集まってもらったのは、ほかでもない。」

「“闇”を食い止めるために、力を貸してほしい。」

(晃の言葉に、テーブルの向こうから、剛が豪快に笑った。)

「あっはっはっ! 何を今さら。」

「初めから、俺たちはそうだ。」

(晃は、テーブルに身を乗り出し、皆の顔を見た。)

「剛。 今度は訳が違う。 俺たちの相手は、“闇”だけじゃない。」



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