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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter99 『決意』 99-61


『・・この席に、

着いてくれる気がしている。』

(戦おうと前を見た瞬間に。 あふれ出す想いに、晃は胸を焦がした。)

***

ザザーン・・! ザザザ・・ザザーンッ・・!

(押し寄せる波音は強く。 激しさを増す海風が、二人を包み込んだ。)

(青い水平線の向こうが、赤く染まり始める。)

(二人は一時息を飲み。 静かな闇の中から、湧き上がってくる。
太陽の熱を、感じ始めた。)

「紫苑さん。」

(夏樹は、赤く色を得始める、海の向こうを見つめ。
一秒ごとに、近づく夜明けに。 自分の中で聞こえる、心音を重ねた。)

ドクンッ ドクンッ・・

「・・・。 人は、誰でも。」

「もう一度、会いたい人が、いるものだよね。」

(氷の様に冷たい手で、夏樹は、自分の胸元に触れ。 首から細い鎖で繋がれた、
小さな、銀の指輪に、服の上から触れた。)

「紫苑さんは、いる?」

(紫苑は夏樹を見つめた。 深い紺色の瞳は、上り始めた太陽の熱を受け、揺れていた。)

「・・夏樹くん。」



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