HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter99 『決意』 99-8


「この建物に居て、生き残ったのは。 俺一人。」

「生き証人の役目かねぇ? えぇ?」

「あいつが望むっつーなら、仕方がねー。」

「地獄の果てまで。 付き合ってやるぜ。」

「ひっひっ。」

(狐次郎は立ち上がり、両手をポケットに入れ。 背を丸めると、
心に甦る。 懐かしい記憶を噛みしめた。)

***

『・・ぼくは。 ぼくの力は。』

『たいせつな人を、まもるためにあるんだって・・。』

『だから、ぼくは。 ここから、かえらない。』

***

(葵は、一呼吸置き。 まるで、何かを恐れるように。 声をひそめた。)

「それに。 彼の中に。」

「この記憶を、閉じ込めているのは。」

「私の力だけではないわ・・。」

「“結界”が、揺らいでいる・・。」

(葵は、自らの両腕を抱き。 黒いレースを揺らし、身震いした。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ